「脱炭素社会実現に重要な役割の産業」(1201号)・・技術屋の相談役のAZA

経済産業省は8月31日、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー(再エネ)の普及に不可欠な蓄電池に関する新たな戦略を取りまとめました。戦略の狙いや内容を解説するとともに戦略を検討してきた政府の官民協議会のメンバーである名古屋大学未来社会創造機構の佐藤登客員教授の見解の記事を紹介します。
●液系リチウムイオン電池で世界シェア2割めざす
蓄電池は自動車の電化や再エネの主力電源化において重要であり、わが国が掲げる2 0 5 0年の脱炭素社会実現に欠かせません。5G通信基地局やデータセンター、各種IT機器にも用いられており、デジタル社会の基盤も支えています。国民生活や経済活動にとって重要物資にほかなりません。蓄電池の世界市場の規模は、車截用と定置用ともに拡大する見通しで、19年の約5兆円から50年にはなんと約100兆円まで成長するとみられています。かつて日系企業は蓄電池において世界市場で高いシェアを占めていましたが、近年は中韓のメーカーが勢いを増しています。15年時点で日本の車截用リチウムイオン電池の世界シェアは51,7%でトップでしたが、20年時点では21.1%まで低下【グラフ左下参照】。定置用リチウムイオン電池も16年の27.4%から、20年には5.4%まで低下しており、蓄電池産業での国際競争力低下が目立ちます。今回、経産省がまとめた新戦略は、日本の蓄電池産業が国際的競争力を高めるための方策を3段階で示しています。
第1段階で液系リチウムイオン電池の生産基盤を強化するための大規模投資を支援
第2段階で海外展開を後押し
第3段階で全固体電池など次世代電池の技術にも投資し、市場獲得をめざす。人材の育成や国内需要を拡大するための環境整備、再生エネ供給と電力コストの抑制といった環境整備も進める。
具体的な目標としては、液系リチウムイオン電池・材料の国内製造能力を、現在の年間20ギカワット時から、遅くとも30年までに年間150ギカワット時に引き上げます。また、国内製造基盤の確立へ、1000億円の基金による支援に加え、さらなる国内製造基盤の拡充のための政策パッケージを具体化し、官民で取り組みます。さらに日本メーカーの国内外の製造能力を、30年までに現在の約10倍となる年間600ギカワツト時に増やす目標を掲げ、世界市場でシェア2割獲得を狙います。
●3万人の人材育成・確保も
蓄電池の製造能力強化に向けては、産業界のニーズに即した人材育成も不可欠です。新戦略では蓄電池に関わる人材を計3万人育成・確保する目標が明記されています。その実現へ、8月31日には産学官で構成される「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」が設立されました。ここでは、人材育成・確保に関する産学官が抱える課題を共有した上で、育成・確保すべき人材像の具現化を図ります。コンソーシアムの立ち上げメンバーで電池サプライチェーン協議会の只信一生会長は「継続的に価値を生み出す人材の確保が不可欠」と強調されその上で、蓄電池は製造や材料の加工、リサイクルに至るまで産業の裾野も広いことから、「魅力ある産業にして新規雇用の受け皿になる」と意気込んでいます。AZAでは以前に少し関係していた電池産業ですが、これからは営業活動も電池産業を視野に入れて行きたいです。改めて電池産業に注目です!

エンジニアリング事業部・最近の実績☆☆AtoZtoA