「汗と上手に付き合う 」(1155号)・・健康経営優良法人のAZA

先週末から気温、湿度ともに高くなり、少し外を歩いただけで汗ばむ季節になりました。汗がうっとうしいと思うことがあっても、汗をかくことは健康にとって重要な役割になっています。皮膚科の先生が語る、汗の役割や仕組み、汗と上手に付き合うポイントについてお話しです。
体温調節が役割:汗をかくことの大きな役割は、体温調節です。気温の高いときや、運動などで体温が高くなったときに、汗腺から汗が分泌されます。その汗が、皮膚の上で蒸発する気化熱により、体を冷やしているのです。ただ、汗をかけばかくほど涼しくなるということではありません。汗を大量にかき過ぎてしまうと、皮膚上の汗が蒸発しづらく、体の熱を下げられなくなり、熱中症のリスクが高まります。また、汗には抗菌ペプチドや乳酸といった成分が含まれており、肌の抗菌作用や保湿作用があるとされています。汗をかかないと、皮膚が乾燥し、肌トラブルの一因になります。嫌われがちな汗ですが、私たちの健康・美容にとって大切な役割を担っていることを知ってほしいと思います。
良い汗と悪い汗:体温調節の汗の成分は、ほぼ水で、ジワジワ出ます。これは体調管理に必要不可欠な汗なので「良い汗」と考えます。一方、激しい運動で体温調節を超えて短時間で大量に出る汗には、体にとって必要なナトリウム(塩分)が高濃度で含まれるので「悪い汗」と表現しています。大量の汗をかいた場合は、水分補給はもちろん、スポーツドリンクや梅干し、タブレットなどで塩分も取り、熱中症予防に努めてほしいと思います。
都市型の現代病:多汗症の人もいます。ただし、「一日に何リットル以上の汗をかいたら多汗症」といった基準はありません。“汗のかき過ぎが気になり、日常生活に支障が出る”と感じる――これが多汗症の基準です。困らなければ治療の必要はないのです。電車や人混みなど、人との距離が近くなる環境では悩む人が増えるので、“都市型の現代病”ともいえるのではないでしょうか。多汗症の反対で、あまり汗をかかない無汗症もあります。コロナ禍でリモートワークなどが増え、汗をかく習慣が極端に少なくなり、気が付いたら汗をかきづらくなっていたという人もいます。汗をかけないため、体温調節が難しく、暑くなると顔が真っ赤に。多汗症と同様に、熱中症のリスクが高くなるのです。
受け身より能動:暑い時期は、どうしてもエアコンが効いた室内にいる時間が長くなり、汗をかくことを避けがちです。しかし、発汗する力は、鍛えないと衰えます。日常生活の中で、汗をかく機会をつくる工夫も大切です。
例えば、お風呂の時、シャワーだけでなく、湯船に漬かったり、サウナを利用したりするのもよいでしょう。また、唐辛子やショウガなど、発汗作用のある食べ物を取るのも、工夫の一つです。ただ、これらはいずれも“受け身の発汗”といえます。さらに効果的なのが、自ら動いて汗をかく“能動的な発汗”です。ウオーキングやジョギング、筋トレなどの運動は、良い汗をかくトレーニングになるので、オススメです。汗をかく量は個人差がありますが、運動していない人と、運動を継続的にしている人とでは、発汗能力は変わってきます。年齢とともに衰えはしますが、運動によってカバーできるので、何歳になっても、体力に無理のない範囲で取り組んでほしいと思います。

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