「パワー半導体メーカーの設備投資は一気にラッシュ」(1147号)・・半導体製造装置設計のAZA

電子デバイス産業新聞の記事からご紹介致します。日本勢が黄金武器とするパワー半導体の設備投資がすさまじい勢いで展開されようとしています。驚くべきことに、ルネサスは閉鎖してしまった甲府工場に新たな投資をするということ自体ただ事ではありません。富士電機の5年間の投資総額は1900億円、三菱電機も同じく5年間で1300億円の投資が実行される計画となっています。東芝は、石川県で1000億円を投じてパワー半導体の新工場を構えています。さらにデンソーは三重のファンドリー工場(USJC)で増産をかけるなど一気のラッシュ状態が生じているのです。パワー半導体はこれまで鉄道、航空機、さらにはエアコンなどの家電に多く用いられてきました。電力を節約する半導体ですので、SDGs時代に対応した環境デバイスなのです。これまでは、1.5兆円くらいの小さな規模でありましたが、今後はEV、燃料電池車、ハイブリッド車などのエコカー需要が急速に拡大していきます。またここに来て、ロシア-ウクライナ戦争を契機に軍事防衛向けにも大きな需要が出てきました。こうなると、数年のうちにも倍増の3兆円以上のマーケットが創出されるわけであり、各社は投資で先行したいとの気構えを見せています。日本政府もパワー半導体を強化しなければならないと考えており、国を挙げての支援策をとっていく考えを示しています。投資に対する補助金の手当て、さらには開発に対する手当ても検討されています。少なくとも、ここ数年のうちに、日本企業が世界において40%~50%のシェアを握ることは絶対条件と経産省筋は言っているのです。ルネサスはパワー半導体に900億円の投資を決めており、閉鎖していた甲府工場を再開し、ここ300mmウエハーの新ラインを構築する。ルネサス全体の生産能力を2倍にしていく考えです。国内トップのパワー半導体メーカーである三菱電機は広島県福山の生産能力を増強し、25年度までの5年間で1300億円を投資することを決めています。東芝もまた、子会社の加賀東芝エレクトロニクス(石川県)にパワー半導体の新工場を考えており、ここには1000億円を投資します。富士電機は2019年度から2023年度までの5年間の投資額の枠を1900億円に拡大しており、特に青森の工場でパワー半導体の新ライン構築を断行するというのです。さらに加えて、デンソーは台湾のファンドリー大手のUMCが所有する三重工場(USJC)を活用して、300mmウエハーにおけるパワー半導体増強を図ります。ここにもデンソーは出資する考えです。2023年上半期には300mmウエハーのIGBTを生産することもプランにはあります。デンソーは自社内で培ったSiCパワー半導体をトヨタの燃料電池車向けに量産化することも計画しています。この背景には中国政府がひたすらEVと言い続けてきた姿勢を転換して、燃料電池車も非常に重要という認識を持ち始めたことも大きいです。私達の外部環境はこのような状況です。

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