「企業の覚醒手法について」(1143号)・・真空装置設計のAZA

今日は、パナソニックコネクト樋口社長の著書「パナソニック覚醒」からパナソニックの大改革についてお話をさせてください・・「まるで別の会社になった」「変われなかった会社が変わった」樋口氏が2017年4月に25年ぶりにパナソニックに戻ってから、6年目を迎えました。新卒でパナソニックグループに入社。その後、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピュータ株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、株式会社ダイエー、日本マイクロソフト株式会社と複数の企業で社長などを経ての「出戻り」は、日本の大企業には珍しいこともあって、メディアでも大きく取り上げられました。同年6月にはパナソニックの代表取締役 専務執行役員に就任しましたが、一方で委ねられたのは当時の4つのカンパニーのひとつ、パナソニック株式会社コネクト社長。主として企業向けのBtoBビジネスを手がけ、従業員が世界で約2万5000人、売上高が1兆円を超える。経営的に厳しい状況にありました。5年が過ぎ、樋口氏が担当してきたカンパニーは「大きく変わった」「まったく別の会社になった」「変われなかった会社が変われた」といった声を内外から上がっています。産休・育休から戻ってきたり、ほかのカンパニーから異動してきたりする社員は、本当に驚くようです。樋口氏が何よりうれしいのは、「会社に来るのが楽しい」「日々の仕事が充実している」という声が、社員から次々に上がっていることです。実際、大きく変わったのは、社内のカルチャーや社員のマインドです。当初、私の目に見えたのは、本来の仕事ではなく、社内調整などそ忙殺されている社員の姿でした。しかも、それが当たり前になり、何の疑問も持たなくなっていました。しかし、今では社内調整など内向きの仕事はどんどん減り、顧客起点の仕事へとシフトしています。与えられた仕事を無難にこなそうとしていた部署が、「必死で頑張るぞ」という空気を出しています。
①カジュアル化:スーツに代表される、誰もが何も考えずに着ていた画一的な服装をやめようと提案し、カジュアル化を推奨しました。カジュアル化によって、会社の雰囲気は明るくなりました。発想も、画一的から、間違いなく柔軟になったと感じています。
②ソフトウェアにシフト:ハードウェアはいずれアジア諸国のメーカーからキャッチアップを受けますのでソリューション型のソフトウェアによるビジネスへのシフト。
③プロセス改善サポート:フォーカスすべき領域として見定めたのが、お客さまの現場のプロセス改善をサポートしていくことを新しい旗印としました。
④M&A:パナコネには足りていないパーツがソフトウェアです。2021年、パナソニックが総額約8630億円で米ソフトウェア企業のブルーヨンダーを買収したことは大きなニュースになりました。
⑤ビジネストランスフォーメイション:3階層の取組でビジネストランスフォーメイションを進める
1階:「カルチャー&マインド改革」 2階「ビジネスモデル改革」 3階「事業立地改革」の3階層でトランスフォーメーションを加速させていきました。この結果、2017年度以降、9.4%、8.4%、8.9%と3年連続で全社基準を上回る営業利益率を達成することができました。
また、パナコネのさまざまな取り組み、改革は、売上高6兆6980億円、従業員約24万人を擁するパナソニック全体にも好影響を与えています。東京のカンパニー本社のオフィスには、社内・外部からもたくさんの見学者を迎えています。2022年4月、持株会社制を導入し、事業会社がそれぞれ独立した株式会社になりました。これまでの5年間の道のりは、苦難の連続。しかし、時間をかけながらも3階層の改革をうまく進めることができたのは、仲間と社員のおかげだといわれています。パナソニックを離れてから、長く外資系企業で過ごしました。激烈な競争を戦い、勝ち抜いていくグローバル企業の強さを肌で実感してきました。
しかし、日本企業に戻って改めて感じたのは、日本の人材はやはり優秀だ、ということです。素直さもある。柔軟性もある。変わる力もある。やればできるのです。日本は今、「失われた30年」の最中にいると言われています。どうにかしてここから脱却しようと、日本企業の改革に格闘している、多くの方々がいます。日本の復活を真に願っている、そうした方々に本書が少しでもお役に立てれば、と考えています。世界の企業は目覚ましく進化していきますが、私はまだまだ間に合うと思っています。遅すぎるということは、いつもありません。無理と思ったら何もできない。問われているのは、やるか、やらないか、だけなのです。

エンジニアリング事業部・最近の実績☆☆AtoZtoA