「コロナ禍と日本経済・に学ぶ・・」(842号)

毎年正月明けに、きらぼしコンサルティング主催の講演会が盛大に元赤坂にある明治

記念館で開催されています。昨年は、現・柔道日本代表の井上康生監督、一昨年は元

プロ野球選手「マサカリ投法」で有名な村田兆治さんでした。本年は経済学者であり

東京大学名誉教授/学習院大学教授「伊藤元重氏」。コロナの影響でオンライン講演会

となりました。演題は『コロナ禍と日本経済』今日はその講演内容で皆さんの興味の

ある部分のお話をさせて頂きます・・。

過去の教訓から危機によって決まる経済の方向があるそうです。

【記憶に新しい危機】

・1990年バプル崩壊

・1997・98年金融危機

・2008年リーマンショック

・2011年東日本大震災

・2020年コロナ危機

コロナ禍では、ソーシャルディスタンスを取る新しい日常が経済の流れを変えていきま

す。但し危機が底流にある流れを、速くするという面もあり改革をすすめるチャンスに

もなります。今回注目すべきはリーマン以降続いているトレンドが加速するということ

です。そこでチャンスと言われているのは、DX(デジタルトランスフォーメイション)

の加速です。またグリーン調達への移行も重要になってきます。グリーン投資とは環境

問題を考慮した投資のことです。グリーンボンドとは、環境改善効果が見込まれるプロ

ジェクトの資金調達のために発行される債券(ボンド)のことを言います。その資金の

ことをグリーンボンドといいます。世界の発行実績は、2009年に約9億ドルでしたが、

2019年には2,500億ドルを突破しており10年でなんと277倍の規模になりました。

それほど発行実績が伸びている背景には、近年注目されている「持続可能な社会の実現

(SDGs)」に対し、そのツールとなるグリーンボンドに各企業や投資家たちが投資を

しているからです。こうしてグリーンへの投資を成長の起爆剤にと、世界的なグリーン化

の流れとなっています。いずれしなくてはいけない投資を早い段階で行いノベーション

で社会改革を伴う動きとなっています。もう一つの本命はデジタルトランスフォーメイ

ション(DX)です。技術革新のスピードを変革のエンジンとしていく流れです。ここでは

ブリジストンとコマツのケースが事例として取り上げられていました。顧客に対するソ

リューションの提供に付加価値を増大し差別化を図っています。

ブリジストンの事例:BtoBとBtoCの区分けを行い鉱山で使用する大型重機のタイヤに

センサーを入れることでデーター収集を行い開発ツールとしています。-50℃から

高温多湿の過酷な環境でのデーターを採取してます。

コマツの事例:建設機械の顧客が一番困っていることは人手不足。それを解消するITC

(情報通信技術)によるソリューションの提供やセンサーやGPSを活用し他社との差別

化を図っています(顧客を囲い込む)。もう一つのデジタルトランスフォーメイションは

サブスクリプションビジネスです。物を売るだけでなく、顧客との連続的な取引につな

げる取り組みです。栗田工業の事例では・・工場用水の浄化システムを販売していました

が、工場から出た工業用水を浄化した水を再び工場に戻すサービスを提供することで

ビジネスモデルを変更しています。また航空機エンジンやエレベーターなど機械を販売し

利益を得ることでななくメンテナンスサービスを行い大きな利益を得ています。

「サブスクリプション型ビジネスモデルの覇者」といわれる定額制動画配信サービスの

「ネットフリックス」。

また厳選の食材や便利な手料理キットなどがそろう宅配サービスの「オイシックス」など

DXを活用して、イノベーションしている代表的な企業です。

私達もお客様に提供しているサービスにDXを活用したり、サブスプリクションを取り込む

など、機会を作って皆でディスカッションしたら意外といいアイディアが出てくるかもし

れません。産業の流れ、経済の流れを勉強することでいち早くトレンドの流れに乗ること

も大切な取り組みであると感じた講演会でした。

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