「他者に対する・共感経営・・」(770号)

日本経済新聞出版から先月発刊されている「共感経営」という書籍を読みました。

大切な考え方だと思いましたのでご紹介致します。偉大なイギリスの哲学者、倫理

学者、経済学者であるアダム・スミスは、かつて自身の説いた「道徳感情論」に

おいて、「他者に対する共感」の重要性を提起しています。その「共感の思想」が、

260年を経た今、改めて世界中の注目を集めています。

自国の利益を優先する主義が世界に広がる中、改めて「資本主義の再構築」に向けて

の議論の中で、「他者に対する共感」が注目されています。

昨年8月米経済会は、これまでの「株主第一主義」を根本から見直す驚くべき宣言をしています。

尊重する利害関係者の優先順位を ①顧客、②従業員、③取引先、④地域社会、⑤株主

という内容に変更されました。株主資本主義の大きな転換期を迎えたのです。

一方多くの日本企業はいま、オーバー・アナリンス(分析過剰)、オーバー

プランニング(計画過剰)、オーバー・コンプライアンス(法令遵守過剰)という3つの

過剰による三大疾病にさいなまれ、活力を失い組織能力の弱体化が進んでいます。

その一方で、社員1人1人が活き活きと仕事に向き合い、大きな成果を実現しているケース

もあります。それらのケースに共通しているのは、「企業と顧客」、「トプと部下」、

「社員と社員」の出会いの場があって、つながりが生まれ、そこから湧き上がる「共感」

が新しい価値観を生む、原動力となっていることです。そこでその「共感」とは・・

「他者と喜怒哀楽の感情を共有すること」です。人間関係の本質は共感にあり、人間力の

本質は共感力にあるとまでいわれています。例えば、人は他人の動作を見ている時、

あるいは笑う、怒るなどに他者の感情を表す表現を見ている時、自分も同じ感情をいだき

ます。他者の感情の状態を共有しようとします。ある施設の事例です。認知症のお婆さん

は、重度の心身障害者の男性に共感し、ゼリーを食べさせようという利他的な行動をとる

ようになり・・。「私が行かないとあの子は死んでいまう」という意識を持つようになった

のです。このことは、共感が「利他主義」を生み出すことを示しています。

「利他主義」とは「自己の利益よりも、他者の利益を優先する考え方」です。

人は共感すると、なぜ利他の行動を取るのか・・?

進化の過程で、利他主義が生まれる集団は、より多くの成果を上げることが出来るので繁栄

するのです。※共感することで⇒利他の精神が生まれ⇒その事により組織が繁栄するのです。

逆に利他主義の希薄な組織は、衰退し淘汰されていくのです。これが「進化の法則」となる

のです。私達も自分自身のこと、自己の利益を優先にしていないか?

確認して、「自分よりメンバー」、「自分よりお客様」、「自分よりチーム」の利益を考える行動を

起こした時に、はじめて自分自身が成長し、繁栄の恩恵を受けるということを理解してください。

大切な考え方では無いでしょうか?

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