― 高真空を測る3つの部品!「熱陰極電離真空計」の仕組み ―
前回は、気体分子をイオン化して圧力を測る「電離真空計」を紹介しました。
今回は、その代表的な方式である**「熱陰極電離真空計」**について解説します。
名前は少し難しそうですが、基本的な仕組みは意外とシンプルです。
■ 熱陰極電離真空計とは?
真空ポンプで空気を排出すると、チャンバー内の気体分子はどんどん少なくなります。
高真空になると、気体による熱の伝わり方を利用するピラニ真空計では、正確な測定が難しくなります。
そこで活躍するのが熱陰極電離真空計です。
わずかに残った気体分子を電気的に検出することで、非常に低い圧力まで測定できます。

■ 3つの部品が協力して測定する
代表的な熱陰極電離真空計には、次の3つの重要な部品があります。
① フィラメント ― 電子を発生させる
細い金属線などを加熱して電子を放出します。
電子は、気体分子を見つけるための小さな探査役のような存在です。
② グリッド ― 電子を引き寄せる
グリッドは、金属線などで作られた電極です。
電圧をかけて電子を引き寄せ、加速させます。
電子が気体分子に衝突すると、分子から電子が飛び出し、プラスの電気を帯びた「正イオン」が生まれます。
③ イオンコレクタ ― イオンを集める
発生した正イオンを集め、非常に小さな電流として検出します。
一定の条件では、気体分子が多いほどイオン電流も大きくなるため、その電流から圧力を計算できます。
■ 使用するときの注意点
熱陰極電離真空計は、フィラメントを高温にするため、大気圧付近などで不用意に作動させると、フィラメントの損傷につながる場合があります。
そのため、通常は十分に排気してから使用します。
また、気体の種類によって測定感度が異なる点にも注意が必要です。
■ まとめ
熱陰極電離真空計は、
「電子を出す」→「気体分子をイオン化する」→「イオンを集めて圧力を求める」
という仕組みで高真空を測定します。
3つの部品の役割を理解すれば、難しそうな真空計も身近に感じられるのではないでしょうか。
■ 次回予告
次回Vol.43では、フィラメントを加熱せずに高真空を測定する**「冷陰極電離真空計」**について、その仕組みと特徴を分かりやすく解説します。