【真空装置パーツ解説シリーズ Vol.38】真空ポンプ⑧総集編(2076号)

真空ポンプ総集編 ― 用途でわかる真空ポンプの選び方 ―

これまで7種類の真空ポンプを紹介してきました。最終回は、「どのポンプを、どこで使うのか」という視点で整理します。
真空ポンプは、1台ですべての圧力領域を排気するのではなく、目的と必要な真空度に応じて組み合わせることが基本です。

① 荒引きを担当するポンプ

大気圧から真空引きを始めるのがロータリーポンプドライポンプです。かつてはロータリーポンプが多く使われましたが、現在の半導体製造装置では、油による汚染リスクがないドライポンプが主流です。
大容量チャンバーなどで荒引き時間を短縮したい場合には、メカニカルブースターポンプを組み合わせることもあります。

② 高真空をつくるメインポンプ

半導体製造装置で代表的なのがターボ分子ポンプクライオポンプです。
ターボ分子ポンプは高速回転するロータ翼によって気体分子を排気し、幅広い装置で使用されています。一方、クライオポンプは極低温面に気体を凝縮・吸着させることで、クリーンで大きな排気速度を実現します。

③ 超高真空を維持するポンプ

電子顕微鏡や表面分析装置、加速器など、さらに低い圧力が必要な設備ではイオンポンプが活躍します。あらかじめターボ分子ポンプなどで十分に排気した後、気体分子を内部に捕捉して超高真空を維持します。
そして忘れてはならないのが油拡散ポンプです。現在の半導体製造装置では主役を譲りましたが、高真空技術の発展を長年支えてきた「名機」です。

まとめ

真空ポンプ選定で重要なのは、到達圧力だけではありません。排気速度、ガスの種類、清浄性、チャンバー容量、メンテナンス性、コストまで考えて選定します。
「どこまで真空にするのか」「何を排気するのか」「どれだけ速く排気するのか」――。
真空装置の性能は、ポンプ単体ではなく、ポンプの組み合わせを含めた真空排気システム全体の設計で決まります。

次回予告

真空ポンプシリーズは今回で完結です。
次回からは新シリーズとして、「真空計解説シリーズ」をスタートします。
第1回は「Vol.39 真空計① ― なぜ真空度によって測り方が違うのか」を解説します。