クライオポンプ ― ガスを凍らせて排気する究極のクリーン真空技術 ―
■ クライオポンプ
半導体製造装置で、油分を含まないクリーンな高真空を実現するために使用されるのがクライオポンプです。「クライオ」とは極低温を意味し、ポンプ内部の冷却面に気体分子を凝縮・吸着させて捕捉します。一般的なポンプのようにガスを外へ送り出すのではなく、内部へため込む気体ため込み式ポンプです。
クライオポンプ内部には、冷凍機によって冷却されるクライオパネルがあります。水蒸気は比較的温度の高い第一段の冷却面で捕捉され、窒素、酸素、アルゴンなどは約10~20Kの極低温面で凝縮します。一方、水素やヘリウムのように凝縮しにくい気体は、活性炭などの吸着材によって捕捉されます。
最大の特長は、オイルを使用せず、大きな排気速度でクリーンな高真空・超高真空を実現できることです。

また、真空側に高速回転する機構がないため、振動が少ないことも利点です。スパッタ装置、蒸着装置、イオン注入装置など、清浄性が求められる半導体製造工程で活躍しています。
ただし、大気圧から直接排気することはできません。まずドライポンプなどで荒引きを行い、所定の圧力まで減圧してからクライオポンプを使用します。
また、気体を内部へため込むため、捕捉量には限界があります。一定量に達したらポンプを昇温し、たまったガスを放出する再生(リジェネレーション)が必要です。
■ まとめ
クライオポンプは、気体分子を極低温面に凝縮・吸着させ、油汚染のないクリーンな真空を作るポンプです。高い排気性能と低振動性を備え、半導体製造装置の高品質な真空プロセスを支える重要なメインポンプです。
■ 次回予告
次回は「Vol.35 メカニカルブースターポンプ ― 荒引き時間を短縮する高速排気技術」を解説します。ドライポンプと組み合わせて排気能力を高める仕組みをご紹介します。