【真空装置パーツ解説シリーズ Vol.33】真空ポンプ③ターボ分子ポンプ (2050号)

前回ご紹介したドライポンプは、半導体製造装置で「荒引きポンプ」として広く使用されています。しかし、半導体製造に必要な超高真空は、ドライポンプだけでは実現できません。そこで活躍するのがターボ分子ポンプ(Turbo Molecular Pump:TMP)です。
■ターボ分子ポンプ
毎分数万回転から十数万回転という超高速で回転する羽根(ロータ)によって、ガス分子を排気口方向へ送り出す真空ポンプです。ガス分子一つひとつに運動量を与え、排気側へ押し流すことで、10⁻⁶~10⁻⁹Paといった超高真空領域を実現します。
内部には高速回転するロータと固定されたステータが交互に配置されており、ガス分子は羽根の間を通過するたびに徐々に排気口へ導かれます。このため、ターボ分子ポンプは大気圧から直接運転することはできず、あらかじめドライポンプなどの荒引きポンプで低真空まで減圧してから運転する必要があります。


■半導体製造装置では
スパッタ装置、蒸着装置、CVD装置、エッチング装置など、多くの真空プロセスで採用されています。チャンバー内の不純物や水分を極限まで除去し、高純度なプロセス環境を維持することで、高品質な半導体デバイスの製造を支えています。
一方で、高速回転する精密機械であるため、振動や異物の混入には非常に敏感です。また、停電などで急停止するとロータに大きな負荷がかかるため、制御装置や保護機能も重要な役割を果たします。

まとめ

ターボ分子ポンプは、超高速回転によって超高真空を実現する真空ポンプです。ドライポンプによる荒引きと組み合わせることで、現在の半導体製造装置に欠かせない高真空環境を実現しています。最先端の半導体製造を支える、まさに真空技術の中核を担うポンプと言えるでしょう。

次回予告

次回は「Vol.34 クライオポンプ ― ガスを凍らせて排気する究極のクリーン真空技術」を解説します。低温技術を利用した排気原理と、半導体製造装置での活用について分かりやすくご紹介します。