【真空装置パーツシリーズⅥ】真空バルブ⑤ エア駆動バルブ(2010号)

【技術コラムVol.25 】 真空バルブ⑥ エア駆動バルブ ― なぜ工場エアで高速動作するのか ―

真空装置では、バルブの開閉を電気モーターではなく「圧縮空気(工場エア)」で行うエア駆動バルブが広く使用されています。半導体製造装置では、高速かつ確実な動作が求められるためです。
エア駆動バルブの内部にはエアシリンダが組み込まれており、圧縮空気を供給することでピストンが移動し、バルブを開閉します。一般的な工場エアは0.4~0.6MPa程度で供給され、この圧力を利用して大きな推力を発生させます。
最大の特長は「高速動作」です。電動駆動ではモーターの回転を直線運動に変換する機構が必要ですが、エアシリンダは空気圧を直接推力に変換できるため、短時間で確実な開閉が可能です。ロードロック室や真空搬送ラインなどでは、この高速応答性が装置の生産性向上につながります。


また、停電時の安全性も大きなメリットです。スプリングリターン機構を備えたバルブでは、エア供給が失われても自動的に開または閉の安全側へ移動する「フェイルセーフ設計」が可能です。
一方で、エア品質には注意が必要です。水分や油分を含んだ圧縮空気はシリンダや電磁弁の故障原因となります。そのため、工場エアにはフィルタやドライヤを設置し、清浄な空気を供給することが重要です。

まとめ

エア駆動バルブは、圧縮空気の力を利用して高速かつ確実に開閉するバルブです。応答性、安全性、メンテナンス性に優れており、半導体製造装置の多くの場所で活躍しています。設計者にとっては、エア圧力や配管設計、フェイルセーフ動作を理解することが重要なポイントとなります。

次回予告

次回は「Vol.26 真空バルブ⑦ ソレノイドバルブ」を解説します。真空装置の自動制御に欠かせない電磁弁の仕組みと役割についてご紹介します。