「真空を制する者が、半導体装置を制す!」(1748号)

【お仕事関連情報】私たちアザエンジニアリングが手がける半導体製造装置の設計には、非常に専門性の高い分野があります。それが「真空技術」、特に超高真空(UHV: Ultra High Vacuum)を前提とした設計です。
一般的な機械設計とは異なり、超高真空環境下では使える材料や設計手法が大きく制限されます。これは「何を使うか」だけでなく、「どう扱うか」「どう組み立てるか」にも深く関わってくる重要なポイントです。
◆ 超高真空における素材選びの難しさ
超高真空下では、わずかなガスの放出(アウトガス)すら大きな問題となります。たとえば――
一般的な鉄(炭素鋼)や鋳造金属はアウトガスが多く、適していません。
プラスチックや樹脂も、真空用に開発された特殊な素材以外は使えません。
水分や油分も厳禁で、組み立て前に金属は脱脂処理(ディグリース処理)を行い、表面の清浄性を確保します。
また、潤滑に使われるグリスやオイルも、「真空用グレード」の特殊なものしか使用できません。ごくわずかな揮発成分が、装置全体に深刻な影響を与えるからです。
◆ 真空環境での熱設計と駆動技術
真空中は対流が存在しないため、熱が伝わりにくいという特性があります。そのため、冷却や加熱にも一工夫が必要です。熱伝導と輻射を上手に活用しなければ、温度制御がままなりません。
また、大気側から真空側への機構の移動(たとえばシャッターや搬送系)には、リークを防ぐためのシール技術やベローズなどの構造設計が必要です。
◆ ノウハウの蓄積が「設計力」の源
これらの真空設計の知識と経験は、一朝一夕で身につくものではありません。素材・構造・工程・評価、あらゆる観点からのノウハウが求められます。
当社は、創業以来この真空技術を強みとして磨いてきました。設計者一人ひとりが真空を理解し、細部まで意識した設計を行うことが、私たちの誇りです。
今後も、半導体製造装置メーカーさまと共に私たちアザエンジニアリングは、この高度な技術力を活かし、より高精度で信頼性の高い半導体製造装置の設計に邁進してまいります。