「幸福になる四つの因子」(955号)・・健康経営優良法人のAZA

現在、日本の抱えている社会問題は沢山あります。所得格差や少子高齢化といった社会問題が一昔前から懸念されてきました。また、マイクロプラスチックや待機児童など比較的新しい問題も次々に社会問題化してきています。人口減少社会、年金制度の崩壊、ハラスメント、自殺、老老介護・・代表的な社会問題だけでも45以上あると言われています。それに追い打ちをかけるようなコロナウィルス感染症問題・・。私達は今、幸せの定義について再確認する必要があると思います。幸福学の第一人者、慶応大学大学院の前野隆司教授の、幸福になる四つの因子についてのお話をさせてください。一つのテーマを掘り下げていくことはもちろん大切ですが、バラバラに研究したままでは、その成果を社会で生かすことは容易ではありません。それなら、自分が過去の幸せ研究を体系化しようと思い、そのために活用したのが“因子分析”という手法でした。因子分析は、多変量解析(たくさんの量的データの間の関係の解析)の一つで、多くのデータを解析し、その構造を明らかにするための手法です。そう言うと難しそうに聞こえますが、統計ソフトを用いれば、因子分析は簡単に行えます。具体的には、幸せに関する過去の研究やアンケート結果をコンピュータにかけ、専用ソフトで計算するということを行いました。学生たちと共に因子分析を行った結果、2012年頃、この要因を満たせば誰もが幸せになれるという因子が得られました。それは次の四つの因子です。

第一因子『「やってみよう!」因子』(自己実現と成長の因子)

第二因子『「ありがとう!」因子』(繋がりと感謝の因子)

第三因子『「なんとかなる!」因子』(前向きと楽観の因子)

第四因子『「ありのままに!」因子」(独立と自分らしさの因子)

第一因子の『「やってみよう!」因子』は、人生の大きな目標や日々の目標を持ち、それを実現していくための自分の強みが分かっている。また、強みを生かすために学習・成長しようとしている人は幸せであることを示しています。第二因子の『「ありがとう!」因子』は、人に感謝して、人のために何かをしたい、誰かを喜ばせたいという気持ちが強く、様々な人と交流を持っている人は幸せであるということです。第一因子が自己実現や成長といった自分に向かう幸せだったのに対して、第二因子は感謝と利他、他人に向かう幸せだといってよいでしょう。第三因子の『「なんとかなる!」因子』は、幸せには前向きさや楽観性が必要だということを示しています。自己実現や成長、他者との繋がりを育む場合にも、「よし、何とかなる!」と、前向きで楽観的にチャレンジしていけることが必要です。そういう意味では、第三因子は幸せになるためのスパイスのようなものだと言えます。最後の第四因子『「ありのままに!」因子』は、周りの目を気にせず、自分らしく生きることが幸せに繋がることを示しています。例えば、第二因子の実現のために周囲の人と仲良くすることはよいのですが、それが人のペースに合わせてばかりになっては幸せになれないでしょう。人と仲良くしつつも、同時に自分らしさも持つことで幸せになれるのです。大変なことが多い社会ですが、「やってみよう!」「ありがとう!」「なんとかなる!」「ありのまま!」因子。皆さんは幸せ因子全部揃っていますか?