【キャリアブログ Vol.20】
― なくせない制約の中で、最善を考える。それが設計者の仕事 ―
先日、新聞を読んでいて、とても印象に残る話がありました。
飛行機の設計に携わる人に、「あんなに重いものを飛ばすのだから、重力がなければ楽なのに」と話したところ、こんな趣旨の答えが返ってきたそうです。
「重力はなくならない。だから、重力がある中でどう飛ばすかを考える。」
私はこれを読んで、まさに設計者の共通する思考そのものだと感じました。

■ 設計とは「制約の中で答えを出す仕事」
私たちが携わる装置設計にも、必ず制約があります。
スペース、コスト、納期、強度、精度、安全性、メンテナンス性――。「この条件さえなければ」と思うこともあるでしょう。
しかし、その条件をなくすことが設計ではありません。
様々な制約の中で、どうすれば安全で安定した生産ができる装置になるのか。その最適解を考え抜くことこそ、設計者の仕事です。
■ 人生にも「なくせない条件」がある
私自身、12年前に難病を発症し、その後も寛解と再燃を繰り返し、さらに他の病気も併発するという経験をしてきました。
病気になる前の人生に戻ることはできません。それならば、「この条件の中で、自分に何ができるのか」を考える。
そこで強く感じるようになったのが「健康」の大切さでした。
そして経営者である私だからこそ、社員の皆さんが健康で長く働ける会社をつくることも、自分にできる役割の一つではないかと考え、現在の健康経営への取り組みにつながっています。
■ 困難を「飛躍の因」に変える
設計者は、問題が起きた時に「できない」で終わりません。
条件を整理し、原因を考え、方法を変え、もう一度挑戦する。
困難をなくすのではなく、困難がある中でどう前へ進むか。
そして、その経験を次の成長への力に変えていく。
それは設計者としてだけでなく、人生においても大切な「設計思考」なのかもしれません。
人生の目的とは、困難のない道を歩くことではなく、困難さえも飛躍の因に変えながら、自分にしか果たせない使命を見つけていくことではないでしょうか。