【真空装置パーツ解説シリーズ Vol.40】真空計②ピラニ真空計(2094号)

― 真空装置で広く使われる「ピラニ真空計」とは? ―
前回は、真空度によって気体分子の振る舞いが変わるため、測定する圧力領域に応じて真空計を使い分けることを紹介しました。
今回は、真空装置で広く使われている「ピラニ真空計」について解説します。

■ 「熱の逃げ方」で圧力を測る

ピラニ真空計の原理を簡単に言えば、「気体が熱を運ぶ量の変化から圧力を測る」真空計です。
センサー内部には、電流によって加熱される細いフィラメントがあります。
圧力が比較的高く気体分子が多いと、フィラメントの熱は気体分子によって周囲へ運ばれやすくなります。反対に真空ポンプで排気し、分子が少なくなると熱が運ばれにくくなり、フィラメントの温度は上昇します。
この温度変化に伴う電気抵抗の変化などを検出し、圧力に換算するのがピラニ真空計です。
身近なイメージなら、風があると体から熱が奪われて涼しく感じるのと少し似ています。ピラニ真空計は「熱の奪われ方」を利用して、目には見えない真空度を測っているのです。

■ なぜ真空装置でよく使われる?

ピラニ真空計は、構造が比較的シンプルで連続測定ができ、粗引きから中真空領域の監視に適しています。
例えば、真空ポンプでチャンバーを排気するとき、「十分に圧力が下がったので、次の排気系へ切り替えてよいか」といった判断にも利用されます。

■ ガスの種類には注意!

ピラニ真空計で重要なのが「ガス種依存性」です。
窒素、アルゴン、ヘリウムなどでは熱を運ぶ性質が異なるため、同じ圧力でも表示値が同じになるとは限りません。
つまりピラニ真空計は、気体が及ぼす力を直接測る真空計ではなく、熱伝導という物理現象から圧力を間接的に求める真空計なのです。

■ まとめ

ピラニ真空計のポイントは、
「気体分子が多い → 熱が運ばれやすい」 「気体分子が少ない → 熱が運ばれにくい」
という関係です。
このシンプルな原理を理解すると、ピラニ真空計の特徴や、なぜガスの種類によって測定値が変わるのかも理解しやすくなります。

■ 次回予告

次回Vol.41では、「電離真空計」を取り上げます。
気体分子が極端に少ない高真空領域を、なぜ「イオン」を使うことで測定できるのか。その仕組みを分かりやすく解説します。