スマホを置いて、本を開こう。――「考える力」が消えていく時代に(2074号)

先日、電車の中で本を読む若者を見かけました。
時折ページをめくる手を止め、何かを考えるように窓の外を眺める。その姿が、なぜかとても印象に残りました。
ふと周りを見渡すと、多くの人がスマホを手に、動画を見たり、ゲームをしたり、SNSを眺めたりしています。
もちろん、私もスマホを使いますし、とても便利な道具です。
しかし、「情報を見る時間」は増えても、「じっくり考える時間」は減っているのではないか。
そんなことを感じます。
さらに気になるのは、SNSから次々と流れてくる情報です。自分の興味や考えに近い情報ばかりが表示され、それを「世の中の常識」だと思い込んでしまうこともあります。
情報があふれる時代だからこそ、自分で読み、自分で考え、自分で判断する時間が、以前にも増して大切になっているのではないでしょうか。

■10年前より「本を読まない子」が増えている

ベネッセ教育総合研究所と東京大学が公表した調査によると、1日の読書時間が「0分」の子どもは、10年前の約1.5倍に増えたそうです。
読書は、単に知識を得るためだけのものではありません。
文章を読み、「なぜだろう?」「自分ならどうするだろう?」と立ち止まる。そこに、語彙力や読解力、そして何より「自分の頭で考える力」を育てる価値があるのだと思います。
思想家エマソンも、ただ文字を追うのではなく、本から意味をくみ取り、自ら思索する「創造的な読書」の大切さを訴えました。
AIやスマホで答えがすぐに手に入る時代だからこそ、私はこの「考える時間」がますます大切になると感じています。

■AZA文庫には800冊以上の本があります

アザエンジニアリングには、社員が自由に読める「AZA文庫」があり、800冊以上の良書をそろえています。
技術書やビジネス書だけではありません。
人生や仕事について考えるきっかけになる本もたくさんあります。
間もなく、子どもたちの夏休みも終わります。
私が子どもの頃、この時期になると最後まで残っていた宿題が「読書感想文」でした(笑)。
「もっと早くやっておけばよかった……」と思いながら、慌てて本を読んだことも、今となっては懐かしい夏の思い出です。スマホを閉じて、本を開く。
たった10分からでも、そこには自分自身と向き合い、考える時間があります。
便利な時代だからこそ、読書を大切にしたい。
本を読む人が増えれば、人生も、会社も、そして社会も、きっと少し豊かになる。
そんなことを、電車の中で本を読む一人の若者から改めて教えてもらいました。