■ロータリーポンプ ― 真空を作る第一歩 ―
真空装置の性能を語るうえで欠かせないのが真空ポンプです。その中でも最も基本となるのがロータリーポンプです。現在の半導体製造装置ではオイルフリーのドライポンプが主流となっていますが、ロータリーポンプは真空技術の基礎を理解するうえで欠かせない基本ポンプとして、今も広く知られています。
ロータリーポンプは、ポンプ内部でロータとベーン(羽根)を回転させることで空気を吸い込み、圧縮して大気中へ排出する容積移送式真空ポンプです。真空チャンバー内の空気を徐々に排気し、大気圧から低真空領域まで減圧します。
半導体製造装置では、高真空を作り出すターボ分子ポンプやクライオポンプなどのメインポンプは、大気圧から直接運転することができません。そのため、まずロータリーポンプやドライポンプでチャンバー内をあらかじめ減圧し、その後メインポンプへ切り替えて高真空を実現します。この最初の排気工程に使用されるポンプは、設計現場では一般的に「荒引きポンプ(Roughing Pump)」と呼ばれています。

ロータリーポンプの特長は、構造が比較的シンプルで信頼性が高く、低真空領域で安定した排気性能を発揮することです。一方で、内部には潤滑用の真空オイルを使用するため、定期的なオイル交換やメンテナンスが必要になります。この点が、現在ドライポンプへの置き換えが進んでいる大きな理由の一つです。
それでもロータリーポンプは、真空ポンプの基本構造や排気原理を学ぶための代表的な機種であり、真空技術を理解する第一歩として現在も重要な存在です。
■ まとめ
現在の半導体製造装置では荒引きポンプとしてドライポンプが主流ですが、その基本となる技術がロータリーポンプです。ロータリーポンプの仕組みを理解することは、真空システム全体の動作を理解するための第一歩であり、機械設計者にとってぜひ押さえておきたい基礎知識と言えるでしょう。
■次回予告
次回は「Vol.32 ドライポンプ ― 半導体製造を支えるクリーン排気技術」を解説します。オイルフリー構造がなぜ半導体製造装置で主流になったのか、その仕組みと特長を分かりやすくご紹介します。