【真空装置パーツ解説シリーズ Vol.29】真空バルブ⑩リークバルブ(2030号)

リークバルブ ― 真空中へ「ほんの少しだけ」ガスを導入する精密バルブ ―

真空装置では、できるだけ空気を排気して高真空を維持することが基本です。しかし、実際の研究開発や半導体製造では、真空中へ意図的に微量のガスを導入したい場面があります。その役割を担うのがリークバルブ(Leak Valve)です。
リークバルブは、ガスを「開ける・閉める」だけではなく、極めて少ない流量を連続的かつ精密に調整できる特殊なバルブです。ハンドルをわずかに回転させるだけで開度が微細に変化し、チャンバー内へ流入するガス量を細かく制御できます。
一般的な真空バルブは配管を完全に開閉することを目的としていますが、リークバルブはガス流量そのものを調整することが目的です。そのため、テーパー形状のニードルや高精度ネジ機構を採用し、極小流量でも安定した制御を実現しています。
半導体製造装置では、プロセスガスの微調整よりも研究開発装置や分析装置で使用されることが多く、質量分析装置、表面分析装置、真空評価装置などで活躍しています。また、真空ポンプ性能試験やリーク試験時に基準ガスを導入する用途にも使用されます。
設計時には、流量調整範囲、耐圧性能、シール材質、対応ガスの種類を確認することが重要です。超高真空用途では、アウトガスの少ない金属シールタイプが選定されるケースも少なくありません。

■ まとめ

リークバルブは、真空装置へ微量のガスを高精度に導入するための特殊なバルブです。「漏れを防ぐ」のではなく、「必要な量だけ意図的に漏らす」という、真空技術ならではの発想から生まれた重要部品です。研究開発から最先端の真空プロセスまで、幅広い分野で高精度なガス制御を支えています。

■ 次回予告

次回は「Vol.30 真空バルブ総集編」として、これまで解説してきた10種類の真空バルブの特徴や用途を一覧で比較し、それぞれの選定ポイントを分かりやすく整理してご紹介します。