【技術コラムVol.28 】真空バルブ⑨ピエゾバルブ― ナノレベルの流量制御を実現する高精度バルブ ―
半導体製造装置では、ガス流量を極めて高い精度で制御する必要があります。そこで活躍するのがピエゾバルブ(Piezo Valve)です。一般的なソレノイドバルブが「開く・閉じる」の制御を得意とするのに対し、ピエゾバルブは微小な開度を連続的に制御できることが大きな特徴です。

ピエゾバルブの心臓部には圧電素子(ピエゾ素子)が組み込まれています。圧電素子は電圧を加えるとわずかに変形する性質を持っており、その変位を利用してバルブ開度を調整します。変位量は数十~数百ミクロン程度ですが、ガス流量の微細な制御には十分な精度を発揮します。
この方式の最大のメリットは、高速応答性と高精度制御です。機械的な可動部が少ないため応答速度が非常に速く、繰り返し精度にも優れています。また、消費電力が小さいことから、省エネルギー化にも貢献します。
半導体製造装置では、マスフローコントローラ(MFC)の内部制御弁として使用されることが多く、成膜装置やエッチング装置などでプロセスガスの流量を精密に制御しています。近年の微細化が進む半導体製造では、ガス流量のわずかな変動が製品品質に影響するため、ピエゾバルブの重要性はますます高まっています。
一方で、圧電素子は変位量が小さいため、単独で大流量を制御する用途には向きません。また、制御回路が複雑になるため、設計時には電源仕様や制御方式の理解が必要です。
■ まとめ
ピエゾバルブは、圧電素子の微小変位を利用してガス流量を高精度に制御するバルブです。高速応答、高精度、省エネルギーという特長を持ち、半導体製造装置の品質と安定性を支える重要なキーパーツとなっています。
■ 次回予告
次回は「Vol.29 真空バルブ⑩ リークバルブ」を解説します。真空装置に意図的に微量ガスを導入する特殊なバルブの仕組みと用途についてご紹介します。