【真空装置パーツシリーズ】真空バルブ⑧ベローズシールバルブ (2020号)

【技術コラムVol.27 】ベローズシールバルブ ― 超高真空を支える「漏れない仕組み」とは? ―
真空装置では、バルブの開閉軸を外部から操作する必要があります。しかし、軸が真空チャンバーの外部へ貫通する構造では、わずかな隙間から大気が侵入し、真空性能を低下させる原因となります。その課題を解決するのがベローズシールバルブです。
ベローズとは、薄肉の金属を蛇腹(じゃばら)状に成形した伸縮性のある部品です。バルブの開閉軸を金属製ベローズで覆うことで、軸を動かしながらも真空空間と大気側を完全に隔離できます。つまり、「動く部分なのに漏れない」という、一見矛盾した要求を実現しているのです。


一般的な真空バルブではOリングによるシールが用いられます。Oリングは構造が簡単でコストも低い反面、ゴム材料からのガス放出(アウトガス)や微量なガス透過が避けられません。一方、ベローズシールはステンレスなどの金属で構成されているため、極めて低いリーク量を実現できます。
そのため、超高真空(UHV)領域や高純度ガスを扱う半導体製造装置、分析装置、イオン注入装置などで広く採用されています。半導体製造では微量の酸素や水分の混入が製品歩留まりに影響するため、ベローズシールは装置品質を支える重要な部品と言えるでしょう。
ただし、ベローズは繰り返し伸縮することで金属疲労が蓄積します。設計時には、想定開閉回数やストローク量を考慮した寿命設計が必要です。また、偏荷重や過大な変位は破損の原因となるため、ガイド機構や芯ずれ防止にも注意しなければなりません。
まとめ
ベローズシールバルブは、開閉動作を行いながらも真空空間を完全に隔離できる高気密バルブです。超高真空を実現するための重要技術であり、半導体製造装置の信頼性や歩留まり向上を陰で支える「縁の下の力持ち」と言える存在です。
次回予告
次回は「Vol.28 真空バルブ⑨ ピエゾバルブ」を解説します。圧電素子を利用した超高速・高精度制御の仕組みと、最先端装置での活用事例をご紹介します。